かながわでにほんご Study Japanese in Kanagawa

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2025.2.13 開催報告

かながわ地域日本語教育フォーラム
日本語にこだわらない日本語教室とは?
~“日本語を教えない実践”から、これからの地域日本語教育について考える~

神奈川県では、多文化共生をめざし、地域日本語教育の取組を進めています。 今回のかながわ地域日本語教育フォーラムでは、教科書を使った学習にこだわらず、学習者に寄り添った教室活動をしている方々にご登壇いただきました。

開催概要
日  時:
令和7(2025)年2月13日(木)18:30~20:30
開催方法:
Zoomによるオンライン開催
参加者数:
213名
プログラム詳細

(1)基調講演

◯多文化ひろば あいあい代表/福村真紀子 氏

地域日本語教育の一環として活動している親子サークル「多文化ひろば あいあい」の設立から、活動のコアを変容させた経緯とその変容がもたらした効果(自尊感情の取り戻し、孤立からの脱却)についてご説明いただきました。
まず、地域の日本語教室のあり方とは?という問題提起をされた上で、「多文化ひろば あいあい」に通う女性のインタビュー映像を通して、一人の女性が「多文化ひろば あいあい」への参加をきっかけに人的ネットワークを構築し、地域情報誌の取材を受けるなど、社会で見られる・聞かれる存在になっていった様子について紹介がありました。
また、実際に活動で見かけた参加者同士のやりとりを例に、地域の日本語教室という場には、「日本語を教える」ことだけではなく、「日本語を使わなくてもいい」というコミュニケーションのあり方を示す役割もあるのではというお話もしていただきました。

(2)教室紹介・トークセッション

◯伊勢原インターナショナルクラブ/光本京子 氏

伊勢原インターナショナルクラブが開催している日本語教室について、オンラインでも活動することの良さや、オンラインクラスを行う上でのボランティア側のスキルの習得方法などをお話ししていただきました。

◯あしがらNIHONGO/浦野美和子 氏

あしがらNIHONGO(南足柄市と開成町で開催)の日本語教室について、活動時間の中に学習者一人ひとりがその日の学びや楽しかったことを共有する時間を設けた背景や、地域との交流を取り入れている目的及び効果などをお話ししていただきました。

◯霧が丘ぷらっとほーむ/日本語カフェ 辻翠 氏

霧が丘ぷらっとほーむが実施している日本語カフェについて、外国出身の方がボランティアの一人として活動に関わることの効果や、実施している広報の方法などをお話ししていただきました。

(3)参加者交流タイム

Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って、参加者同士の自由な交流の時間としました。登壇者4名も加わり、フォーラムの感想や地域での日本語教室での活動についてなど、ルームごとに自由にお話ししていただきました。

■ 参加者の声

  • 日本語にとらわれないお互いの文化を大切にし、孤立させない取り組みが、私達が目指している内容だったのでとても参考になりました。ありがとうございました。
  • 日本語教員検定から教員を目指す者です。今年に入ってからボランティアグループさんの見学をさせていただき、日本語教育の現在を自分なりに掴もうとしているのですが「教えない教育」とよく聞くのですが理解ができずとまどっておりました。具体的なお話をしていただき、腑におちました。ありがとうございました。
  • 本日は、貴重なお話をありがとうございました。
    福村様のこれまでの経歴や、サークルを設立された動機を知る事ができて良かったです。
    日本語教育と聞くと、テキストで文型などをしっかり教える事と思っていましたが、学習者を主体として活動されており、日本語教育の新しい視点に気付く事が出来ました。教える側・教えられる側と線引きするのではなく、みんなで取り組むという事が日本語の習得に良い影響を与えていると思いました。
  • 多文化共生を目的とした地域日本語支援の形を教えていただき、目の前が明るくなった気持ちです。外国ルーツの方と日本人とが、豊かにつながる社会で生きられたら楽しいですね。まずは今の日本語教室で明日から早速できることを始めてみます。ありがとうございました。
  • 私も出身地や母語等に関わらず、その人がその人らしく活躍できる場づくりを模索しており、福村さんのご実践についてお聞きしたいと思っていました。福村さんご自身の体験、ご実践の中での気づき、活動形態の変遷についてお伺いでき、非常に参考になりました。素晴らしいお話をありがとうございました。
  • 福村さんご自身の考え方の変容と連動するように、「あいあい」の場が変化していく様子がつぶさに伝わってきました。福村さんのご尽力、感じる力、確固たる信念が「場」をつくりだしているのだと思うと、尊敬の念を抱かずにはいられません。「多文化ひろば あいあい」は大変意義深い「場」だと感じました。一人ひとりが社会の中に存在する自分を自分で認めることにつながる活動の場が地域日本語教室(教育)ですね。肩肘張らず、枠にとらわれず、柔軟に、楽しんで、でも軸はぶれずに、、、大変ですが前を見て進んでいく勇気をいただけたように思えました。ありがとうございました。
  • 無理をせず教室に合わせてCan-doを取り入れていらっしゃることや地域日本語教室以外に入っていけるようそっと背中を押されていること等、形にされているのが素敵だなと感じた。各教室の特色や背景がしっかりされていて、ボランティアの方の思いやビデオで教室の雰囲気も知れて面白かった。
  • それぞれのお教室が、室内で日本語を教えるという形ではなく、とても自由に工夫されていらっしゃるのがよく分かりました。皆さんの並々ならぬご努力の一つ一つが活動に繋がっており素晴らしいと思いました。また外国人の方にイニシアチブをとってもらう様な柔軟性のある開かれたお教室は、大変驚きました。とても良い活動内容を知る事ができ、有意義な講座でした。ありがとうございました。
  • 今回の「日本語にこだわらない日本語教室」のテーマは新鮮な切り口でとても良かったです。 「日本語を教えない実践」なら日本語ボランティアに限定せず、より多くの人が活動に参加でき、外国籍の人たちとの交流の輪が広がると思われます。地域の人たちの無関心さに対する解決策の一つになりそうです。大変学ぶことの多いセミナーでした。ありがとうございました。